集住空間の構造
まちづくり
マンションネットワークにおけるコミュニティづくりの可能性・1
明倫マンションネットワークの目指すもの
京都市中京区明倫学区は、きもの業界をはじめとする京都で最も古い歴史を持つ地域の一つであり、祇園祭の山鉾町でもある。
一方、きもの業界らはどんどんこの地区を撤退し、その後には新たにマンションが建つ。
あっという間に住民の90パーセント近くがマンション住民となった。にもかかわらず、マンション住民は町に溶け込んでおらず、町の運営に危機的状況がでてきた。
明倫自治連合会はこの事態の打開のため、全国的にも新しいマンションのネットワークを組織した。私はその初代代表に選出された。
以下はそのときの声明である。・・・・・・・・・・・・・・
明倫マンションネットワーク(MMN)は、何かを強制するものではない。
共に学び助け合うことのみを目的とするネットワークである。
*マンションと隣近所のお付き合い
平成22年10月17日(日)、第1回明倫マンションネットワーク・評議会を開催しました。テーマは「マンションと隣近所のお付き合い」、でした。
明倫学区はマンション建設活動が盛んで、10月20日、又一つ、新しいマンションが着工されました。商業地域ですから、中高層のマンションが容積率一杯まで1メートルほどの壁面距離で接近して建てられます。当然、様々な相隣関係も生じます。
今回、MMNはこの新マンション建設に関わる相隣関係の最も良い解決を目指して分譲業者と交渉を重ねてきました。初めの近隣住民向け工事説明会では、非常に紛糾してしまいましたが、交渉を重ねた結果、業者は はじめの建築計画、工事計画を、これ以上望めないほど改善してくれました。
この経緯の中で見えてくるのは、分譲業者との問題だけでなく、業者への要望をまとめる近隣マンションの理事会の問題、近隣マンションと一般住宅の住民の思いの違い、など。
つまり、新たなマンションが一つ建てられる、という事件をきっかけに、マンション内の問題、マンション間の問題、マンションと一般住宅との関係の問題などが見えてくるのです。
MMNはこのような様々な問題を共に考え、共に助け合います。しかし、MMNは問題解決の組織ではありません。問題が解決すればそれで終わり、というものではありません。
MMNはこのような問題を共に解決しようという働きかけを通じて、助け合いの真のネットワークを構築しようとするものです。
真のネットワークとはどのようなものでしょうか。
それは本当の隣人愛のネットワークです。
それでは、その本当の隣人愛とはどのようなものでしょうか。
*ささやかな隣人愛のネットワーク
マンション住民の多くは自分の隣人が何者であるか知らない。知る必要を感じない。
マンション住民の多くはお隣の住人よりも、ずっと離れた趣味の仲間やメールをやりとりする友達などと身近に付き合っている。
だとすれば、誰を本当の隣人と呼ぶべきであろうか。
聖書は、隣人とは誰のことか、についてのエピソードを載せている(ルカ10章)。
ある人が強盗に襲われて重傷を負って道に伏していた。そばを通りかかったユダヤ教の祭司もユダヤ教徒も無視して通り過ぎる。しかし、次に通りかかったサマリア人(異教徒とみなされていた)は彼を手厚く介抱する。
さて、誰が強盗に襲われた者の隣人になったか、とイエスは問いかける。
MMNはマンションの問題を互いに助け合って解決しようとするネットワークである。現在、マンション問題の解決を専門とする業者は既に存在する。ただその場の問題解決だけならば、専門業者のほうがうまくやってくれるかもしれない。しかし、管理会社に任せきりのマンションが、今度はマンション問題解決業者に任せきりにするのであれば、本質的には何も解決していないのである。
眼の前に困っている人がいれば、それが誰であれ、ほんの少しでも手助けしようという隣人愛があれば、マンションネットワークはできるはずである。
これがなければ、見た目に整っていても、気持ちよく暮らせる町が出来ることはない。